「はい、また当たった。」おやじ東京は怖いところだが、実は田舎にも「ヘナチョコな詐欺師」はいる。 それも、大学生ではなく、小中学生を狙っている。 それはお祭りの時によくある夜店の屋台である。 もちろん町に住んでいる住人ではなく、テキヤのおっさんなのだが、 いろいろな手で我々いたいけな子供を騙してくれた。 「ちびまる子ちゃん」に出てくるインチキおじさんのたぐいである。 ちびまる子ちゃんに出てくるインチキおじさんは、トランプだった。 5枚のトランプの裏に描かれた女の子の絵が、呪文をかけるとあっという間に男の子に変わるというトランプである。 種明かしは、5枚のトランプには上下に男の子の絵と女の子の絵が、 それこそ、トランプのジャック・クイーン・キングの様に上下に描かれていて、 持ち方によって、男の子だけの絵に見えたり、女の子だけの絵に見えたりするだけの手品である。
夜店でわたしが知っているのは、レントゲンのおもちゃである。 黒い筒のようなレントゲンの機械で、人の体を見ると、アバラ骨が透けて見えるという代物で、 買った奴が好奇心で分解してみると、ただの鳥の羽根が入っているだけだった。
ただ、これらはまだ、モノという対価が得られるだけましである。 わたしが知っているもうひとつの夜店の詐欺師は数字の当てくじのおっさんである。 おっさんの店の商品はくじの箱だけ。 横に置かれたバスタオルには1等から末等までの当たり番号が麗々しく印刷してある。 1等で千円、末等で50円程度の金額だが、これが当たりそうで当たらない。 当時、10円で2枚のくじが買えた。 三角のくじを開けて書いてある数字をバスタオルに印刷してある数字と合わせるのである。 これが、また1番違いとかの惜しい番号になっているのである。 それで悔しくてまた10円、また10円とくじを買っていく・・・。 でも、いいかげん当たらなければ皆買わなくなる。子供だって馬鹿ではない。 ところが、ここからがヘナチョコ詐欺師の真骨頂である。 いかにも当たりくじがたくさんあるように見せかけるのである。 ある子供が、箱に手を突っ込んでくじを引こうとする。 おっさんは、間髪を入れず、その子供がまさに引かんとしていたくじを奪い取る。 「はい、また当たった!何をぼうっとしているこっちが当たり。 嘘だと思うなら、開けてみよ。(封を切って)ほら、12345番。千円が当たっている。」 と、さきほどのバスタオルの上に置く。 確かにそこには当たり番号が書いてある。 でも・・・よく考えると、それはおっさんが開ける権利があるわけではない。 胴元なんだから、お客がくじを引くのを公平に見ていなければいけないのだ。 それをおっさんは、「当たった。」と称して、勝手に開封する。 結果、当たりをもらえる人はいなくなるのだ。 でも、そこは夜店のくじ。 おっさんは、あたりかまわず、 「はい、また当たった。」をどんどん続ける。 開封された当たりくじの山がバスタオルの上に広がる。 その度に子供が群がってくる。 くじを引く子供からすると、 おっさんの「はい、また当たった。」の掛け声は、「当たりが多い。」ことを意味する。 我も我もといんちきくじに参入する。 千円の当たりくじは多分おっさんにしかわからない目印がついているのであろう、 瞬く間に”回収”されてしまう。 もちろん、たまには本当に当たりも入っていて、おっさんの目から漏れることがある。 それは末等の50円だ。 かくいうわたしも一度だけ末等の50円を当てたことがある。 そんな金額でも当たると嬉しいし、そのおっさんは苦々しい顔をしてしぶしぶ当選金を渡す。 |
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