わたしのエッセイ 5

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左と右

わたしは左と右の区別がよくわかりません。

 

「お箸を持つほうが、右。お茶碗を持つほうが、左。」と言われても、

元来、左利きで、幼時に矯正した思い出があるからでしょうか、いまだに即座に答えられないのです。

 

車を運転していても、

「そこを、左」

「あの角を、右」

と横から言われても逆にハンドルをきることがよくあります。

 

小学一年生のとき、「向かって右」とかしつこく先生から教えられたことがトラウマになっているのでしょうか、

つい、「右」と言われても、どっちから見て右かわからなくなるのです。

 

ピンクレディの振り付けもテレビで憶えましたので、動作が反対になっていて、

「サウスポー」もつい右利きで踊っていたりします。

 

わたしほどひどくなくても、皆さんもこういう経験をしたことがあるでしょう。

地下鉄で「次は大手町、大手町です。進行方向、向かって右のドアが開きます。」

と丁寧に言ってもらうと(一度、進行方向に体の向きを合わせて、右側ですから)わかるのですが、

「出口は右側です。」

と言われても、アナウンスの時に全員が進行方向を向いているわけではないので、困りますよね。

 

というわけで、「右」に降りた、地下鉄東西線大手町からJR東京駅までの長い地下道を歩いていると、

交通ルールとは違って左側通行になっています。

どっち側通行と決まってないのですが、皆さん、自然に左側に寄っていくようです。

 

昔、日本は左側通行でした。

それは右側を歩くと、侍の刀が触れ合って果し合いになるからだ

と言われていましたが、人間工学的に見て、左側通行の方が自然なようです。

 

これは心臓の位置(真ん中にあるのですが、鼓動する部分は左です)が関係しているようで、 保護するためにヒトは、左側に寄っていく性質があるようです。

運動会でも、トラック競技はすべて左回りですよね。

 

あ、馬は違いますね。

中央競馬会の競馬場で左回りは、中京、新潟、東京。その他は右回りです。

でも乗っている騎手はヒトですから、どちらかというと左回りのコースが馬の能力が素直に出る。

逆に言うと、右回りだと、騎手の巧拙があるような気がします。

 

政治の世界でも、かつては右翼と左翼がありましたが、

最近、どっちが右でどっちが左かわからなくなってしまいましたしね。

 

有機化学の世界では、右手と左手のように鏡に映した時、

自身の鏡像をどう回転しても自身と重ね合わせることができないことをキラル(不斉)と言うそうです。

化学には詳しくはないですが、左向きか右向きかが違うだけで、それ以外はまったく同じ構造をしていても、 性質や機能が異なるらしいですね。

有機化学の分子さんたちも、自分がどっち利きで、それは向かって右なのか、 相手から見て右なのか悩みながら生きているのかもしれませんね。

 

わたしの場合、有機化学的に言うと、頭の構造が、左と右の光学異性体が混在したラセミ体になっているということですね。

 

キラルは不斉。

不肖、私めのつたないお話にお付き合いありがとうございました。

(2004年10月執筆)

 

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