日本の「タテ」と「ヨコ」
「活字離れ」ということが言われて久しいですが、果たしてそうでしょうか?
確かに「活字」はそうかもしれませんが、文字を読む量は、老若男女を問わず、むしろ増えてきているのではないでしょうか?
例えば、メール。
企業で使う社内メールやメーリングリスト、メールマガジン。
パソコン黎明期には、「企業が必要とする情報の2割しか電子化されない。」と言われていました。ところが今や、企業の中でメールを見ないで仕事をすることは不可能になってきました。
それからホームページ。
これも一時期、派手な画像や動きのあるページがもてはやされましたが、最近ではブログという日記形式でテキスト中心のものに流れが変わりつつあります。
書籍や雑誌といった紙媒体からメールやホームページといった電子媒体に変わり、従来は読み手だった人が書き手に回ることでこれから世の中に文字情報は級数倍的に増えていくことでしょう。
ところで、日本での電子媒体と紙媒体でひとつ決定的に違うことがあります。
「本は縦書き。電子媒体は横書き。」
ということです。
携帯やパソコンで見るメールやホームページ、ワープロ、表計算ソフトはすべて横書きです。
一方、本として世の中に出版されるものはいまだにほとんどが縦書きです。
縦書きは上から下へ首を頷かせながら読みますが、横書きは左から右へイヤイヤをしながら読みます。
どちらかというと、横書きのほうが、文章を論理的に冷静に読めそうです。
イヤイヤをし、右脳と左脳を刺激しながら、論理矛盾のチェックが効きそうですよね。
つまり、感情移入をして、行間を味わうような詩歌、純文学の小説は縦書きに向いていると思いますが、評論や学術書は横書きに向いていると思います。
だいいち、数式や英語の略語や写真の注釈はすべて横書きにした方が都合がいいですよね。
日本語はもともと縦書きの文化を尊重してきました。
「横紙を破る。」という諺がありますが、これは道理が通らない行為をすることをいいます。和紙は縦に漉いていくので、横には破れないことから来ているのですが、日本語は、和紙に縦に書いていくもので、「縦」が文化の根幹にあるのです。
一方、「横」についてはどうでしょうか。
「横車を押す。」「よこしまな人」「横柄な人」「横のものを縦にもしない」等・・・。
どうも、「横」という概念に日本人は昔からあまりいい意味を与えて来なかったようです。
これは、「日本はもともと縦を尊重するタテ型社会である。」ということが影響していないでしょうか?
卑弥呼、天皇制から幕藩体制、軍国主義から戦後の日本株式会社に至るまで続いてきた縦型社会・・・。
横書きの電子媒体は、単に文章だけではなく、西洋型の横型文化として押し寄せてきていて、日本社会は大きな変革を求められているような気がします。
ボスは縦型組織、リーダーは横型組織の象徴です。
組織も「横」にフラットになり、チーム制をとる。
チームはボスが上から仕切るのではなく、リーダーが左右にマネージメントします。
転職で「横」に動く。
プロジェクト立ち上げの時だけ、横の組織からアウトソーシングで人が派遣されてくる。
海外からの「横」の資本参入がある。
インターネット横型商取引が従来の縦型系列取引に取って代わる。
良きにつけ、悪しきにつけ、時代は「縦」から「横」へ日本社会を矯正しながら動いています。
(2004年6月執筆)
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