わたしのエッセイ 3

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違和感のある言葉〜自己実現とは?

以前、パソコンの保守の仕事をしていた頃、ユーザーの方からよく「メモリが足りない。」という苦情がありました。

ところが良く聞いてみると、足りないのはメモリではなくハードディスク容量のことを言っているのに気付きました。 パソコンの自作や部品交換をやったことがある方ならおわかりでしょうが、メモリというのは、魚の骨の様な薄い板で、 パソコンで作業中にプログラム等を読み込む一時的な記憶媒体です。一方ハードディスクとは、固い金属の円盤で、 データ等を保存しておく外部記憶装置のことです。

このように誰かが言い出した言葉で、当たり前のように使っているが、違和感のある言葉を皆さんもいくつかお持ちではないでしょうか?それぞれ違う言葉に違和感を覚えると思いますが。

アディダスなどの体操着のことを皆さん「ジャージ」と言いますが、私はどうしてもこの言葉が恥ずかしくて言えません。

私は上下を分けて、上のことを「体操着」、下を「タイツ」と呼んでいます(そのほうが恥ずかしいですか?)

何故かというと、ジャージの語源は織物の生地そのものをいうのだそうで、小さい頃、洋装の生地の名前としてわたしの頭に刷り込まれていたのがジャージで、それを体操服と同義というのは、どうも違和感があるのです。 ちなみに仙台地方では体操服のことを「ジャス」というそうです(仙台地方の方、本当ですか?)。 語源はジャージスーツが縮まったものということですが、むしろわたしはこちらのほうが違和感がありません。

外来語というのはもともとかなり間違って日本に入ってきています。

トランプはカードゲームで誰かが「triumph!(大勝利)」と言ったのが間違って伝播しました。

ブリキは、当時レンガ(ブリック)が金属の箱に入っていたのを箱の材質と間違ったものです。

他にも合衆国は合州国の誤訳、ジョン万次郎がビーフステーキを「びすてき」と日本に伝える、・・・枚挙にいとまがありません。

わたしが就職する頃、2つの違和感を覚える言葉がありました。

ひとつは、「自己批判」。

これは当時まだ学生運動の残滓があり、「自己批判し給え!」という言葉を使う輩がいました。 何故、「反省」では駄目なんでしょう?(サルにもできるからでしょうか?)

もうひとつは「自己実現」。

これは有名企業の人事パンフレットにありました。「当社は仕事を通じて自己実現できる会社です」というものです。

似た言葉で「自己満足」は知っていましたが、この言葉ははじめて聞く言葉でした。意味がわかりませんでした。 気になって調べてみました。

「自己実現」とは、self realizationの訳語で、心理学者ユングが言い出した概念であるようです。

ユングは、ある例を挙げて説明しています。

「幸福な結婚生活を送っている中年男性が、若い女性を愛してしまい、家を捨てれば罪の意識を覚え、家に留まればいらだちを覚える。」 この2つの情動を外的世界で「行動化する」ことをやめ、心の内的世界に葛藤を移すという方法が「自己実現」である。

・・・と言っています。(注:どこかの政治家の話ではありません)。

つまりある意味、内的で、宗教でいう「悟り」に近い言葉が「自己実現」だというのです。

日本での「自己実現」という言葉は、経営セミナーや自己啓発セミナーなどで取り入れられた言葉が伝播したらしいのですが、

いわば外的な「成功体験」を言っているようで、本来の意味と正反対の言葉であるようです。

(2004年2月執筆)

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